ご入社おめでとうございます。
社員一同と共に、今日の日を大変慶んでおります。
皆さんは、昨日まで大学生でした。今日からは調布みつぎ不動産研究所の会社員です。
社会人大学に入学した訳で、仕事を通して勉強し、切磋琢磨して立派な社会人として成長していっていただきたいと思っております。
本社ビル完成時、一階入口に二宮金次郎の銅像を設置しました。
金次郎は1790年頃、今の小田原市に生まれましたが、生家は破綻し、両親は金次郎15歳前後に相次いで亡くなったため、
おじの家に預けられ、「百姓に学問はいらぬ」という方針のもとに育ちました。
入口の銅像は、金次郎がその頃に薪を背負って働きながら学んでいる姿を表しております。
大人になった金次郎はおじから独立、勤勉と倹約を旨とし、実家を再興させ、生涯にわたって615もの貧村を立て直したと言われています。
私は、金次郎の働きながら学ぶ姿に、我が社もこうありたいとの思いで設置しました。
皆さんも銅像を見ながら事業(仕事)を通して社会(地域やお客様)に貢献するために、仕事をしながら勉強し、
より高い価値を提供できる人財(会社にとってかけがえのない人間=財(たから))となれるように成長してください。
ただし、勉強するレベルは、学生時代とは違います。
「勉強になりました」「解りました」で終わっては、学生時代のままです。
勉強したこと、解ったことが、「自分もできます」というレベルまで達しなければ、社会人とは言えません。
これから新入社員研修が早速始まります。先輩方がOJTして下さるのですから、「解りました」で終わるのではなく、
「できます」レベルまで、学びを高めてほしいと思っています。
今日から皆さんは調布みつぎ不動産研究所の、組織の一員として働きます。
組織の一員となるからには、考え方・ベクトルを一緒にさせなければなりません。
一人一人が別々の方向を向き、バラバラの状態では、力を発揮できません。
企業理念や三ツ木フィロソフィなどが、考え方・ベクトルの物差しです。
私たちは、製造工場の中で皆一緒に目に見える製品を作る仕事をしているのではありません。
私たちは、それぞれ外で、お客様に対し、個々に目に見えない頭の中で考えて判断し、価値を提供する仕事を行っているのですから、
判断基準として企業理念やフィロソフィを持ち、ベクトルを合わせなければならない。企業理念を、しっかりと自分のものにしてほしいと思います。
調布みつぎ不動産研究所は、全社員部門経営者を目指していることを認識していただきたい。
部門経営者とは自分の担当する仕事は自分が経営者、社長であるということです。
すなわち、自己が責任を持つ仕事分野を拡大・発展するのも、または現状維持で終わるのも、逆に衰退させてしまうのも、自分次第であるということになります。
また、我が社が全員部門経営者を目指しているということは、我が社は機関車(SL)のような列車ではないということです。
言い換えると、社長や一部の者が機関車として動力を持ち、他は引っ張られていくような貨車であってはならず、
我が社はそれぞれの車両にモーター、動力を持つ新幹線であるということです。
『自らが計画を立て、チェックし、改善し、その目標の達成に責任を持つ』ことであり、
『KPIマネジメントにおいて、日々PDCAサイクルを回す』ということです。
業務プロセスを学びながら、各々が動力を持った、立派な部門経営者として成長していただきたいと思います。
続いて、若い君たちだからこそ、時間をかけて創造していただきたい仕事について話します。
調布みつぎ不動産研究所は、地域No,1を目指しております。
地域No,1になるためには、シェアを拡大し続け、時には競争相手に勝たなければなりません。
しかし、紀元前6世紀ごろに記された孫子の兵法書の中には、次のような文章があります。
『百戦百勝は善の善なるものに非らざるなり。「戦わず勝つ」、これ善の善なるものなり。』
(意味:百戦百勝が最善の策ではない。戦わずして敵に戦意を喪失させる、これこそが最善の策だ。)
仕事で言いますと、競争相手と戦って勝つ仕事がすばらしい仕事ではありません。
競争相手が、この仕事に関してはとても勝てない、戦っても無駄だと思わせるくらいの仕事レベルを創造しなければならないということです。
皆さんには、時間をかけてそのような仕事を創造して行っていただきたいと思います。
次に、仕事への取組み姿勢についてお話しします。
イソップ物語に、3人のレンガ職人の話があります。
旅人が、3人のレンガ職人に、何をしているのか聞きました。
1人目:「レンガを積んでいる。辛い。嫌な仕事だ。」と答える。
2人目:「レンガを積んでいる。辛いがおかげ様で家族が飯を食っていける。」と答える。
3人目:「レンガを積んでいる。歴史に残る偉大な教会を建てる為である。集う人の幸せを想像しながら、誇りを持って仕事をしている。」と答える。
調布みつぎ不動産研究所は、産業分類で言えば単に「不動産業」であり、小分類では「不動産仲介業」「不動産賃貸業」「不動産管理業」となります。
3人目のレンガ職人のように、誇りを持って仕事をしている面から捉え、「当社は何屋さん」的に表現すると、
当社は『不動産価値向上、安心信頼提供業』であると言えます。
もし旅人に何をしているのかと聞かれるようなことがあったら、
「私たちは地域を良くし、それを後世に継承し、今、新しい家庭生活を創ろうとしている人たちに、
暖かい家庭を創るための手助けをする、すばらしい仕事をしているのだ」
と、誇りをもって説明できるような仕事への取組み姿勢を心掛けていきましょう。
三ツ木はそもそも農業を祖業としております。農業者というのは土を大切にし、土地を命のように大切にするものです。
まさに、「一坪の土地 それは地球の一部です」の精神です。
かけがえのない地球。それは一坪の土地を大切にするというところから始まるという意味です。
「地域を守り良くし、暖かい家庭を創ることに貢献する。」そのような思いで仕事に取り組んでいきたいものです。
終わりに、当社は年間、半期、月間、週間と、部門または個人で計画を立て実行し、成果を上げていくシステムになっています。
去る3月22日、イチロー選手が引退記者会見を行った時のコメントが、勉強になる内容でしたので、ここで披露します。
質問1、「引退の決断に後悔や思い残すことは?」
答:「今日の球場での出来事・・・あんなものを見せられたら後悔などあろうはずがありません。
もちろん、もっとできたことはあると思いますし、結果を残すために自分なりに重ねてきたことはありますが
『人より頑張ってきた』とはとても言えないし、そんなことは全くないです。
けど、『自分なりに頑張ってきた』ということはハッキリ言えるので『重ねることでしか、後悔を生まないことはできないのではないか』と思います。」
と、コメントした。
「イチロー選手がいかに他人に比べず、自分の仕事に集中していたか」を物語っています。
プロ野球選手は、週間、月間、年間、契約期間平均など、ビジネスパーソン以上に実績をシビアに査定される世界であることは、言うまでもありません。
質問2、「生き様でファンに伝えられたことは?」
答:「生き様というのは、よくわかりませんが”生き方”と考えるならば、あくまで“はかり”は自分の中にあって
『自分なりに”はかり”を使って限界を見ながら、ちょっと超えていく』
という事を繰り返していく。そうすると、『いつの日か、こんな自分になっているのだ』という状態になって。
だから少しずつ積み重ねてでしか自分を超えていけないと思うんですね。」
と、コメントした。
さらに「『一気に高みに行こうとすると、今日の自分の状態とギャップがありすぎて続けられないと僕は考えているので、
地道に進むしかない。進むだけでなく後退もしながら。
ある時は後退しない時期もあると思いますが、自分で『やる』と決めたことを信じてやっていく。
それが正解とも限らないし、間違ったことを続けてしまうこともあるんですけど『そうやって遠回りをすることでしか本当の自分に出会えない』
という気がしています。」
ここでの要点は、
①「基準は他人ではなく自分の中にある」
②「自分の限界をちょっと超える」
③「それを地道に続ける」
④「後悔や遠回りもする」
⑤「一気に高みを目指しても継続しない」
これが進化のプロセス、成長のプロセスと言えます。矢印のように真っすぐに進まないのが実社会です。
しかし自分が『ヤル』と決めたことは、何としてもやり続ける。
私は人間、バカになることも必要だと考えています。
小さな水滴でさえ、「雨垂れ石をも穿つ」という言葉があります。バカになって続ける。
私たちが障害を乗り越えられない訳がありません。
小利口に、少し難しいと目標を変えたり、場所を変えたりする人がいます。
天からみると「水すまし」のように同じところをぐるぐる回っているように見えるかもしれません。
今日からこの会社の仲間となられる方々、そして既にメンバーである社員の方々にも申し上げます。(丁度、半期目標を設定する時期ですから)
①「お客様、地域や社員」に貢献する目標をつくってください。
「この会社にどのように役に立ちたいか」の目標でも結構です。
②日々は、今日、自分のできることの限界を、少しだけ余分にやる。これを繰り返して下さい。
やがてはイチロー選手のように「いつの日か、こんな自分になっているんだ」と、自分で自分に感心するようになります。
頑張ってください。
以上